コロナ禍でのオープンキャンパス事情は?三浦 勝寛(株式会社リクルート リクルート進学総研 主任研究員)
新型コロナウイルス感染拡大、その影響は広範囲にわたり、高校生の進路選択も例外ではありません。とくに、専門学校進学者の97%(※1)が参加していたオープンキャンパス(以下OC)中止・縮小のインパクトは、WEBへの進化など新たなコミュニケーションを創造するほど大きなものでした。
<OC中止・縮小での影響>
約80%の高校が、「進路ガイダンス・進路相談等の中止延期」「OC指導が不十分」(※2)な状況下、OC中止・縮小で、高校生の進路選択の時間と新たな発見の機会は、例年に比べて極少化したのではないでしょうか。例えば、今年の専門学校入学者のOC参加平均校数は2.2校(※3)で、2019年の3.5校(※1)から1.3校の減少。エリア別では、関東が4.7校(※1)から2.4校(※3)で、ほぼ半減でした。
この影響で、既知の分野・学校に限定された、狭い視野での進路決定を迫られた学生が、少なからず存在したはずです。懸念されることは、ミスマッチ進学とそれに伴う中途退学者の増加で、今まで以上に在学生へのケアとフォローが必要なのかもしれません。
<OCの変化は>
高校から「実際の講義・研究などのリアルな接点」の要望が高く(※2)、今年はリアルOC回帰の様相ですが、WEBOCは感染不安はもちろん、「時間」「距離」「お金」のハードルを下げ、その気軽さからも学校を知る機会拡大の必須のアイテムに。オンデマンド模擬授業、VRキャンパスツアー、チャット活用などコンテンツも充実中。各学校のOCは、高校生とのマッチング精度向上のために、リアル・WEBで補完しあいながら進化中です。
企業では、ミスマッチによる早期退職抑制のための、WEBだからできる採用プロセス・コンテンツの開発運用フェーズに移っています。学生の成長モチベーションを高め続ける、ニューノーマルなOCのエッセンスが、ここにも、あるかもしれません。
※1「進学センサス2019」※2「高校教育改革に関する調査2021」※3「コロナウイルス流行による進路選択行動影響調査2021」全てリクルート進学総研のレポート・調査
http://souken.shingakunet.com
(メールマガジン第7号(2021.7.19配信)に掲載)