専修学校
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#知る専コラム

専修学校の情報発信の現状と課題を考える前鼻 英蔵(学校法人西野学園 理事長)

私たち専修学校業界は社会の即戦力たる人材を育成する事を事業としています。無論、継続的人材育成の場として社会貢献としての役割があります。一方、学校法人は非営利組織として様々な制約と共に非営利組織ならではの様々な免除や補助があります。学校という継続的事業を推進していく事でこの免除や補助に対しての責務を負っているといえます。

日本における教育は多くを私学が担っており、特に幼稚園と専門学校各種学校は同族経営が主流です。そのため、公私の境目がなく自法人の財務を公表することは自分の財布の中身を見せることと同義として長らく捉えられてきました。そのため、どちらかというと自分らに有利な情報以外は出さない傾向が強くあります。一方、同じ高等教育機関である大学・短大は私学助成金の介入や高等教育局の強力な指導により常に情報の透明性を迫られていました。特に平成16年に改正された学校法人法改正(※1)以降情報開示についてのガイドラインの厳重な遵守は大原則であり、校内掲示のみであった事がHP上での開示が必須になり、世界中誰でも閲覧できる状況になっています。

しかし、専修学校業界においては職業実践専門課程の認定事項としての情報開示義務が初めて必須事項となるまでは積極的に情報は開示されていません。以前から各都道府県専各連においての広報誌掲載事項にどこまでの情報を載せられるか、高校側からの要望と学校側の情報の不発出に各都道府県広報委員は大変悩んでおりました。それがこの職業実践専門課程認定において別紙様式4での情報開示は画期的な事と思っています。

さて、では現在のこのままでいいのでしょうか。情報格差・不足による学生・生徒のミスマッチングは常にこの業界での問題でもあります。また財務の健全性をアピールするにも適切な情報開示は特に利害関係者に対しては重要です。一般企業において特に上場企業においては適切な情報開示は経営の透明性、健全性を担保し経営者としての資質が問われる事項です。この度令和2年改正(※2)において経営者責任、経営層責任が一層強化されました。学校法人の新たなガバナンスも中教審で審議されてもいます。これまでどちらかというと優遇されてきた事へ胡座をかいてきたツケが来ていると感じています。これまでの経営の思想では立ち行きません。家族経営的発想から早々に脱却し、ガバナンス機能を持ち得た新たな学校法人経営思想に転換する事がこれからの経営者に求められていることだと感じています。

※1
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/attach/1412368.htm
http://zen.lolipop.jp/youran/monka/monka-160723.htm?gclid=EAIaIQobChMI5--ukZit8gIVUNeWCh2APgpzEAAYASAAEgJ7I_D_BwE

※2
https://www.mext.go.jp/content/1422184_01.pdf
http://souken.shingakunet.com/college_m/2019_RCM217_20.pdf

(メールマガジン第9号(2021.8.17配信)に掲載)