ミレニアル世代の校長が考える
持続可能な学校づくりのためにできること田中幹人(学校法人大和学園 副理事長
(京都調理師専門学校校長、京都製菓製パン技術専門学校校長、京都ホテル観光ブライダル専門学校校長))
コロナ禍において、学校運営や教育に様々な制限がかかる中、持続可能な学校とは何だろうかと改めて向き合う時間が多くなったように感じています。「持続可能」の定義は難しいところですが、京都にいると、“創業何百年”という企業に沢山出会います。隣を見ればそうした企業が多数所在する環境の中で結論はまだ出ませんが、現時点で自身としては、「人を如何に大切にするか」が、持続可能な学校づくりにとっては重要なポイントと捉えています。
一方でコロナ禍を経て、教育への先端技術の利活用、遠隔授業の推進や新型コロナウイルス感染症対策など、様々な取り組みがインターネット上でも紹介されていますが、それらの教育を担う人々、つまり教職員に焦点を当てた取り組みはそう多くないと感じています。専修学校も含めて様々な学校種には多数の先進的な教育の事例がありますが、それと同じように、教職員の働き方改革等の先進的な事例もあって良いのではないでしょうか。Withコロナ社会のような急激な環境の変化に適応することはもちろん、このような教育・職場環境を如何に創っていくのか専修学校を始めとする学校関係者には求められています。
そういった観点で本学園の取り組みを少し紹介させていただきます。
本学園ではtaiwa流働き方改革と称した独自の取組みや、ボトムアップ型の経営計画の策定など、学園に集う「人」に焦点を当てた運営をこの数年、特に強化してまいりました。第三者からの確かな評価として、関西の学校法人格を有する法人としては初めてとなる「えるぼし(最高位三ッ星)」の認定を厚生労働省から受ける等、人を大切にするための数々の施策が徐々に芽を出し始めています。ボトムアップ型の経営計画については、若手・中堅教職員で構成するワーキンググループを立ち上げ、長期ビジョンや中期計画、事業計画の素案を作成するとともに、幅広い視点で様々なアイデアを創出しています。毎回の会議では、社会の変化を踏まえた具体的な事業計画の提案や今後重要となるキーワードなど、活発な議論が展開されています。
(参考URL)ボトムアップ型経営計画策定の紹介:https://youtu.be/hhp6nN-SSeA
こういった取り組みを地道に推進、対外的に発信することで「専修学校で働く人は、みんな生き生きとして輝いている」専修学校業界自体が、そんな業界になればいいなと考えています。私自身も、自身を磨き高めつつ専修学校の振興に向けて、京都・全国・さらにグローバルへ貢献する視点を持つことを日頃から心がけて、今後も「共創・共生」の視点で様々なチャレンジを継続して働きかけてまいります。
そして、おもてなしの文化の都である京都から世界へ、私たちの世代から次の世代へと「人」を大事にしながら本学園の建学の精神である「人の和」を、時代が変化しても変えることなく広げ続けていきたいと、本リレーコラムを執筆するにあたり決意を新たにしています。
結びに、本学園では、産学公連携の新しい形を模索しています。そんな中、この度観光庁の「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」に”学校法人としては唯一”採択されました。今後は本学園を中心として、地元のホテルや旅館、金融機関、旅行会社、タクシー会社に加え、大手広告会社や大手不動産ディベロッパー、京都市、DMO KYOTO等と連携し、大変困難な状況にある京都市内の観光振興に寄与するプロジェクトを立ち上げます。このプロジェクトには本学園の在学生も参画する予定です。「食」を切り口に学生が京都観光復活に向けた旅行商品や京都観光の新しいアイデアを提案し、一連の取り組みを教育のアウトカムにつなげます。専修学校が主体となり活気あるまちづくり・地域に貢献するひとづくりが出来るということを広く発信し、専修学校教育の振興はもとより、産学公連携の新しい価値を生み出せたらと考えています。
(参考URL)観光/食/伝統関連企業連携の事例:https://youtu.be/GleOWPxyyWg
(メールマガジン第15号(2021.11.8配信)に掲載)