企業の経営者から見た、専門学校のすごさとは?五藤幹也((株)ムーブネクスト代表取締役)
現在、私は中小企業の経営者として実務に携わりながら、今年の4月から1週間に1コマだけ、東京都内の観光系の専門学校において、組織マネジメントや地域マーケティングに関する講義を行っています。
たまたま、専門学校に講義を行う先生として携わるようになった企業の経営者から見て、「専門学校はここがすごい」と感じた点が3つあります。
1つ目は、学生のみなさんのとても自然な挨拶や礼儀正しさです。充実した職業人人生を送るためには、仕事の遂行能力が高いだけでは不十分で、人間関係やコミュニケーション能力も養い、他者理解・相互理解を経て、関係者を適切に巻き込みながら業務を遂行していくことが求められます。そのためにも、挨拶をはじめとして、相手への敬意を示す礼儀正しさを養うことが大切です。専門学校では、このような職業人としての基礎をしっかり養うという考え方を大切にしているため、卒業後すぐに職業人として活躍できる能力を獲得できる可能性が高いと思います。個人的に、弊社に採用したい/近い将来仕事を一緒にしてみたいと思う学生さんも多数います。
2つ目は、将来に対して明確な目標を持つ志の高い学生が極めて多いことです。専門学校に入学する前の段階で、卒業後の進路希望イメージが比較的明確なため、日々の講義等への参画度合いも極めて積極的だと感じます。将来の職業選択のイメージや人生の目標が見えづらい高校生のみなさんは、一度専門学校の学校見学会にも足を運んでみると良いのではないかと思います。
3つ目は、教員(実務家)が提供する教材や教育レベルの高さです。進路選択の際比較されることが多い大学は研究機関であり、研究推進という観点から幅広い学問について探究することができます。しかし、研究対象となる事象を一般化したり抽象化されたものを学ぶことが多く、学んだことを実際の社会の課題等に当てはめようとすると、具体的ですぐに実行可能な解決策を導きづらい学問領域も多く存在します。理論の構築も大切ですが、その理論に基づいて具体的に実践できなければ絵に描いた餅になってしまう可能性もあります。いっぽう、専門学校で学ぶ内容は、現場の第一線で活躍している実務家教員が、実際の現場で直面した事例を整理し体系化し、どのように対応すべきかについて講義したり、具体的な仮説・体験・検証型学習を設計しているので、具体的ですぐに実行可能な解決策を導く能力を身につけることができます。そして、実務家教員のみなさんの活躍を間近に見ることができるので、将来の自分のなりたい姿を一層明確にすることができる機会が多く存在すると思います。
このように専門学校のすごさを3つ挙げましたが、他にも素晴らしい点がたくさんあります。本稿で全てを列挙することはできませんが、専門学校への進学を考えている学生や保護者のみなさんはもちろんのこと、選択肢にすら入っていないみなさんも、将来の職業選択のきっかけや真に豊かな人生を送るためのヒントを得ることができるかもしれません。
百聞は一見に如かず。ぜひ一度、お近くの専門学校の見学会などに足を運んでみてはいかがでしょうか?
五藤幹也((株)ムーブネクスト代表取締役)
大学在学中に理系学生向けベンチャー起業。大手コンサルティング会社を経て独立。複数のスタートアップ・中小企業も支援する。 東京農業大学総合研究所客員研究員、大正大学地域構想研究所客員研究員。専門学校講師も務める。
(メールマガジン第26号(2022.8.15配信)に掲載)