専修学校
関係者向け

イベントでも率先してサポート。
「学び始める」、「学び直す」専門学校生。2023.07.28

調理師学校が主催する食育教室が全国で開催されている。
https://www.jatcc.or.jp/works/education/classroom/

イベント当日の様子

2023年7月15日(土)、山口県山口市のYIC調理製菓専門学校で開催された「作っておいしい!学んで楽しい!食育教室2023」。地域の親子(子どもは小学生)を招き、先生の指導を受けながらロールケーキを作るのがメインイベント。親子のロールケーキづくりを、専門学校で学ぶ生徒がサポートするということで現地取材に向かいました。生徒の中には、60代の方もいるということです。

今年は、募集した定員の倍近い36組の親子の申し込みがあったとのこと。もともと年1回開催され定着していることに加え、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き自粛ムードも影を潜めたことが影響した模様。

イベントは、まず食育に関する専門学校の先生のお話からスタート。続いて、ロールケーキの作り方について、シェフでもある先生が説明。お母さん、お父さんがメモをとる姿の後ろでは、サポートにつく専門学校の生徒たちも、真剣な眼差しで作り方を覚えようとする姿が印象的。


2つの教室に分かれて始まった実習では、専門学校の先生による巡回指導に加えて、各調理台では専門学校の生徒たちもサポート。彼らは、作り方や混ぜ方など、参加している親子のみなさんがわからないこと、戸惑っていることを、その場でフォロー。最初は、親子のみなさんもサポートする生徒たちもよそよそしく、そして緊張気味でしたが、段々と和気あいあいとした雰囲気に包まれて、調理台ごとにロールケーキがどんどん完成。
参加した親子からは「クリームの泡立てが大変だった!」、「将来はパン屋さんになりたいから参加しました!」、「丸めるところが難しかった!」「おいしくできた!」といった声が聞こえてきました。


在校生インタビュー

親子教室終了後に、サポートした生徒に話をききました。

「昨年末に、建設会社を定年退職して、こちらに入学しました。大学を卒業してから、ずっと東京で建築関係の仕事をしていたのですが、実家が山口なので、何か新しいことがしてみたいと思って、こちらに入りました。
記憶力はどんどん低下していくし、これまでの仕事とは全く違うことを学んでいるのでついていくのが大変ですが、すごく充実しています。同級生は、朝早くから勉強して、終わったらアルバイトに行き、また朝から勉強…、若い専門学校生をリスペクトします。シニアの同級生が4~5人いるのですが、みんなで『この時間は宝物だね』って話しています」(田中周一さん)

田中周一さん

「保育関係で調理の仕事をしたくてここに入学しました。毎日家でも習ったことを練習していて。最初はうまくいかなかったことが、こうやったらできるんだって、仕組みがわかるとできるようになるのはうれしいです。今日は(教える側で)いつもと立場が逆でしたが、自分が理解していることでも、それを人に教えるのって難しいんだな、って改めて思いました。シニアの方たちと一緒に学んでいることには全然違和感はありません。まだ入学して3か月なので、これからもっと仲良くなれたらいいなと思っています」(椙本千智さん)

椙本千智さん

「シニアの生徒さんたちは、動きに無駄がないし、授業に向かう姿勢も熱心。一緒に学んでいて、教わることが多いです。私自身は、地元の新聞社で営業の仕事をしていたのですが、実家の母が洋菓子屋を営んでいることもあり、会社を辞めてこの学校に入学しました。大学でデザインを勉強していたので、その経験をいかして、ゆくゆくは母の店を継ぎたいと思っています。商品を充実させて、ネット通販などを展開していくのが夢です」(山室依里奈さん)

山室依里奈さん

「10年前に会社の先輩が、この学校を経て飲食店を営んでいるのをある日突然思い出しまして。それがきっかけで入学しました。今年はたまたま同世代の生徒さんが多くて、入学したのが今年でよかったと思います。ずっと子育てをしながら仕事をしてきたので、料理は、早ければいいとおおざっぱなものしかつくってこなかったんです。でも、仕事も定年退職して時間に余裕ができたし、孫に美味しいものを食べさせてあげたいという気持ちで通っています。卒業後は、何か食関係の仕事ができればいいなと思っています。今、シニアの人たちって、みなさん元気ですごくパワーを持っていますから、私も頑張りたいですね」(坂本千晴さん)

坂本千晴さん

今回、多様なバックグラウンドを持つ生徒のみなさんの活躍ぶりとお話しに接して、学びはいつからでも始められることを学ばせていただきました。