地域の発展に貢献する 地域の皆さんのための教育機関岡村 慎一(学校法人YIC学院 学校法人京都中央学院 理事 統括本部長)
「地元で育ち、学び、働く」、そして未来の家族とともに生きる。そんな普通の幸せを素朴に願う。職業教育は、そんな幸福を自らの手で得るためのとても有効な手段だと思います。
専門学校では、地元を愛する教職員のサポートを得て、学生達は多様な職業に憧れ、専門的な知識と技能を身につけるために、ともに学び、地元に求められる自分磨きをします。
学生は、「なりたい姿」を求めて、当初は学び方もわからず、学習手段も改めて学び直すことで、学ぶ喜びや楽しさを感じ、徐々に主体的にクラス仲間と協働しながら成長します。やがて地域に貢献できる働き方を体験的に気づき、自律的に自らの生かす職場を見つけます。
そんなキャリアの成長プロセスが、専門学校にはあります。
その専門学校では、こんな光景を目にしたりします。
早朝、スタッフ自らが掃除しています。そこに、登校してくる学生が、笑顔で挨拶をしていきます。初等中等教育機関でも、同様の体験がある方もいますね。
教室では、朝学の国家試験問題を解いている学生がいます。また、パソコンに向かって自主的にプログラム作成やWEBデザインを作成している学生がいます。他の美容実習室では、学生がコンテストに向けたワインディングの練習を仲間と黙々とやっています。学生ホールには、複数の学生が集まって、企業連携した課題について対話をしています。私に気づいた学生が、マスク越しでも笑顔を感じられる挨拶をしてくれます。
それぞれの学生が、生き生きと各自の学びを主体的に取り組んでいるのです。
学生達の未来の働く姿には、単に専門的な仕事に携わるだけではなく、地元に溶け込み仲間とともに笑顔で活躍している様子を、私は過去の先輩たちから想像できます。
専門学校には、非認知能力を育むプログラムが、専門教育とともに実は組み込まれています。
ジョブ型雇用が言われる昨今、専門的な技能が評価される時代となっています。そんな中でも、地元で人と人の繋がりを大切にした職場には、学ぶことに喜びを感じた経験を持ち、非認知能力を育まれた多くの専門学校卒業生がいます。彼らは、地域活性化に大切な人材となっていることを、評価されてもいいのではないかと思っています。
高等教育機関の中で、地元残留率が最も高いと思われる専門学校は、有効な地元を愛する人材を輩出することで、地域に貢献しています。
専門学校は、都道府県認可の有用な高等教育機関として、地域の産官学が柔軟かつ継続的に連携することが実行可能な生涯学習機関なのです。リカレント教育の必要性が言われる中、専門学校と企業や行政が、効果的かつ魅力的な取り組みを行う上で、地方創生に有効な地域人材基盤を作ることができると考えています。
(メールマガジン第11号(2021.9.13配信)に掲載)